将棋の駒に使われている漆の歴史や研究について紹介しています。

将棋の駒に使う漆は国産か、海外産か?

 「将棋の駒に使う漆は国産か、海外産か?」
 これまで駒師の大半が国産の漆を使っていました。それは国産漆の仕上がりは最高級だ!と評判が高かったからです。しかし最近おもしろい話を耳にしました。「国産漆を使ってきたが突然ある時期から漆入れが失敗するようになった」と言うのです。これは駒師が製作に失敗したのではなく、従来使っていた漆の成分が変わってしまったことを意味しています。それはなぜなのか? 国産の漆は高価なため漆の製造業者がコストを削減するために「油等を混ぜて分量を水増しし、成分を変えてしまった」というのが真相のようです。過去にもそのような混ぜ物を入れた漆業者が評判を落とすということが幾度かあったそうです。当然お客は離れていきます。
 そこで見直されてきたのが海外(中国)産の漆です。「海外では油の方が高いから混ぜ物を入れる方がコストが高くなるから混ぜていない」と言う経験論をもとに海外産の漆を扱う駒師の方が増えてきました。もちろん完成した駒を見ても見た目は全く変わりませんし、わかりません。疑問は続きます。海外産の漆の品質は本当に低いのか?以前は確かに品質が低かったのかもしれませんが、漆業者が高価な国産漆を売るために広めた噂なのかもしれません。このような噂が立つことは実際少なくありません。将棋の駒に使われる木地についても「中国産の柘植は品質が悪い」と評判がありました。しかし実際にはどうでしょうか? 確かに斑が黒っぽくなる木地もありますが、いいものは島(御蔵島)柘植よりも素晴らしい木地が実は多かったのです。しかし国産の柘植を大量に在庫を抱えている業者としては安い中国産の柘植が主流になっては困る、だから「中国産の柘植は品質が悪い」と評判を流していました。その後中国からの輸入が禁止となり、国産の島柘植が主流になっていますが、当時の輸入柘植在庫を抱えていそうな業者に「中国産の柘植が残っていないか?」と中国産柘植を探している業者は多いのです。
 実際にいい中国産柘植の木地を使った駒を見ても素晴らしいものはたくさんあります。これが中国産?と驚くようなものも多いのです。なにも言わずに見せられたら全くわかりません。実は島柘植よりも安く品質もよかったというのが真相なのです。
 それでは国産の島柘植と中国産柘植のはっきりとした違いはあるのでしょうか? 実はあります。中国産の木地には石灰の成分が入っているそうです。ここまで調べる(執念の)駒の収集家がいたという話を聞いたことがあります。